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2015年7月23日木曜日

Baseball Sport AG ドイツの学校で野球指導

 今年はドイツの中学生に野球を指導する機会に恵まれています。すでに3校、約50人の野球初心者の子供達に指導をしました。 
 AGとはArbeit Gruppeの略で、要するに短期集中のセミナーです。作詞、ヒップホップ、ヨガ等いろいろです。子供はその中から好きなものを選択します。
 野球AGの評判はありがたいことにとてもよく、また来年もという声を、学校始め子供達からも直接頂いています。しかし、そこからうちのチームにぜひ来て頂戴、とはなかなかうまくいきません。この年頃になると、大体は何かしらのスポーツチームで定期的に活動している子供がほとんどです。男子は80パーセントサッカーでしょうか。しかし先日、この典型的な中学生活からはずれている子供たちに出会いました。そのほとんどが外国籍、あるいは移民の子供たちです。理由は様々ですが、力と時間を持て余している彼らに同情せざるを得ません。そして、その多くが集中力が欠け、ちょっとしたことでカッとなる傾向にあります。彼らのイライラが手に取るようにわかるので、切ないです。さっきまで不機嫌な顔をしていたくせに、上手く送球や打撃ができて褒められると、輝く笑みを見せる彼らにもっとチャンスが与えられるといいのですが…

2015年7月20日月曜日

国際養子縁組

 先日、国際養子縁組のドキュメントをテレビでみました。デンマーク人夫妻がエチオピアから姉弟の二人を養子に迎える3年にわたるドキュメントでした。感想は「ありえない」の一言です。同じ養子親の立場として言葉を失いつつ見ました。
http://www.ardmediathek.de/tv/Reportage-Dokumentation/Dokumentarfilm-im-Ersten-Die-Adoption/Das-Erste/Video?documentId=29439670&bcastId=799280
 ありえない一つ目は、養子(乳飲み子ではありません)が養子親に引き渡される直前まで、実親と子供が一緒にいること。何がいけないの?と思われる方がいるかもしれませんが、ちょっと想像してみてください。或る日突然慣れた親元から直接、言葉も通じない、肌の色も違う、生活様式も違う「未知の人間」の元に送り込まれる幼児はどのように感じるでしょうか。元の生活に戻りたい一心でもちろん反抗します。全身全霊で意思表示をします。そして養子親は途方にくれます。「こんな子供は望んでいなかった」と。このドキュメントでは4歳になる姉が、どこまでも拒否反応を示します。それに対してまだよちよち歩きの弟は、実親から引き離されたという感覚さえもまだはっきりしていないようで、理想の養子となっています。
 問題は養子親。養子に限らず、子供がなんでもおとなしく言うことを聞く方がおかしいです。子供が泣く時、叫ぶ時、決まって理由があるはずです。それを理解しようともせずに、「支配者のごとく、この子供はうちの中を叫びで制圧しようとしている」なんて言葉が出てくることに絶句です。全く子供への共感はありません。ましてや養子という特殊状況も全く理解していません。よくこの夫婦は心理テストを通ったなと思いました。
 結局、この姉の方の子供は、デンマークで里子として別の家族に引き渡され、のちにデンマークの孤児院に預けられたそうです。あってはならない状況です。かわいそうで言葉がありません。孤児院に預けられる直前に、「(あなたはいい子じゃないから)もうママもパパもできないのよ。」と、語る養子親は鬼です…この子の心の傷の大きさは果てしないです。
 変わって養子に出したエチオピア人の夫婦はというと、養子に出したことで金銭援助がもらえると思っていたらしく、それがないとわかって落胆します。金銭援助があれば、人身売買になってしまいます。この夫婦は両方ともHIVポジティヴです。養子はネガティヴです。日々の薬代もままならず、6人の子供を抱えて迷った挙句の判断でした。
 毎日、実の子がどうしているか気になってしょうがない。せめて発育報告書がみたいと駆けずり回ります。この発育報告書は、どの国際養子縁組者も、定期的に提出しなければならない義務となっています。この報告書は母国の関係団体に送られ、実親がそれをみたければいつでも見れる仕組みです。私たちも定期的に写真と一緒に提出しています。この報告書にたくさんうれしかったことや楽しかったことが書けるといいね、きっと実のパパとママも喜ぶよ、と私たちは説明しています。この報告書が1回のみで、それ以降数年分が全くこのエチオピア人の実親には届いていませんでした。デンマークで何がおこっているのかまったく耳に入らないわけです。約束と違う、というわけで実親は怒り心頭に達します。
 この養子縁組団体は違法ということでもう存在しないらしいですが、どれだけ不幸な子供がヨーロッパに送られたかと思うと胸が痛いです。エチオピアは当時ハーグ条約に加盟していませんでした。日本は最近になって加盟したようですが、もっと大きく取り上げて欲しいです。日本はこの条約の草稿に参加していますが、加盟はしないという何とも不可解な立場に長くいました。その理由は「日本人に限って養子なんて」というつまらない驕りから来ていたのは事実でしょう。実際、某国会議員が発言していたのを記憶しています。
 今日は興奮して、なんだかまとまりのない文章になってしまいました。日本ではまだまだ特別養子縁組が日の目をみませんが、ここドイツから養子親のひとりとしてこれからも発言していきたいと思います。

 
 
 

2015年7月1日水曜日

Free Tibet !! 戦争のない世界を…

 今日は夕食後、滅多に見ないテレビをダラダラとみることにしました。すると、ユニセフが発表した報告にまず驚き、続いてチベット情勢についてのドキュメントが目に飛び込んできました。
 ユニセフの報告とは、世界中の10人に一人の子供が戦争下で生活しているとのこと。その数230万人に登るそうです。驚異的な数字です。戦争のない世界を、の誓いがはかなくも砕け飛ぶ数字です。この数字に該当する子供たちの多くが宗教の名によるなんらかの暴力にさらされているそうです。
 そして、続けて見たチベット情勢のドキュメント。ここではじめて中国のプロバカンダ映画を目にしました。ダライ・ラマはとんでもなくずる賢く、そして無慈悲、かつ暴力的にもちろん描かれていました。さらに、いかにチベット人がダライ・ラマによって苦しみをうけているかを、暴力満載で描いていました。そして映画のオチは「ダライ・ラマから人々を解放するには中国共産主義が不可欠!!」と、くるわけです。話には聞いていましたが、あまりの幼稚さに苦笑いさえでてきました。
 この映画を見た後、ダライ・ラマの説法を直接聞いた中国人がその差に驚き、真実を探求しつつ、それを外部に発している姿も番組内で取り上げていました。この中国人の彼女の行動には感服します…
 と、宗教と支配欲が全く人間に幸福をもたらさない二つの例を、テレビで偶然にも再確認させられた夜でした…