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2015年5月5日火曜日

グリーフケア Trauerarbeit

 昨日、グリーフケアで傾聴させてもらっている女性が、死別についての意味を「自分自身に戻って生きる転換点だった」と、おっしゃっていました。どこかに飛んでいってしまいそうな感覚、対人恐怖、それらに対して何を土台としたらいいのかわからないと言っていた彼女の顔が、昨日は一瞬とても生き生きとしていたのがとても印象的でした。

2015年5月1日金曜日

『沢木興道聞き書き ある禅者の生涯』

 ブログの更新がいつものごとく遅れているので、久しぶりの書評です。今日は酒井得元著の『沢木興道聞き書き ある禅者の生涯』について。
 沢木興道はあまりにも有名なので、私からの野暮な説明は控えます。この本はまさに自伝で、とても読みやすいです。電車の中や、ちょっとした待ち時間に読めます。タイトルを見る限り、なにやら難解な禅問答的文脈で構成されるのかなと思いきや、すいすい読めます。沢木の言動よりも、当時の一般人の彼を敬う姿や、生活の様子が生き生きと描かれていて、そちらのほうに興味をそそられました。托鉢が普通に行われていたり、風呂の入りぞめ、便所のしぞめ等、ちょっと面白おかしい、けど大真面目な当時の生活が生き生きと描かれています。その当時から100年ちょっとしか経ていないのに、我々の生活はとんでもない勢いで変化してきたのだなと実感させられます。昨今の西欧社会における禅のイメージとは程遠い、泥臭く、そして人間味のあふれる禅の世界がこの本から読み取れます。
 末尾の解説は、碩学鎌田茂雄先生が執筆されています。先生の学生時代の坐禅に向かう姿と、それを支える師である沢木興道との授業でのやり取りがおもしろいです。