Translate

2015年2月6日金曜日

うつ病について 2 Depression und Meditation 2

 うつ病の時は、その考えを「排除しよう」「もう抜けれない」と、思うことで思考の堂々巡りがおこることを前回申し上げました。「眠れない」も良い例です。不安の連鎖をとめようとするあまり、よけい眠れなくなります。

 もうひとつ、うつ病時にあえて意識すべきこと、というか我々人間全てがいつも勘違いしているのですが、思考のほとんどは「現実ではない」ということです。たとえば、簡単な例で言えば、「雨」と思うことで実際に雨の中をびしょ濡れになっているわけではありません。「汚物の中」と思うことで実際に汚物の中に身を置いているわけではありません。「私はダメな人間だ」と思っても、旅先で出会うジャマイカ人には興味の源泉となる初めて言葉を交わすアジア人かもしれません。笑

 さらに「え、今経験していることを考えてるじゃない」と、思われる方がほとんどと思いますが、よくよく分析してみるとそうではないことが多いのです。たとえば、過去、未来への思い出や思考はまさに今この瞬間のできごとではありません。過去の出来事でいえば、「現実に起こったことではないか」と反論がでるでしょう。しかし、実際には脳の中で毎瞬変化し続ける経験値への反応です。そして、それらの情報は千差万別です。なにひとつ同じものはありません。これを過去、未来に起こった、起こるであろう「現実」として固定化することで、心身反応とのずれが生じてきます。身近な例で言えば、亡くなった人間との思い出が変化していくこと、食べ物の好き嫌いが変わること。

 また、「銀行振り込みしなきゃ」「今日の夕飯何にする?」「次の会議は何時から?」「あの人の名前はなんだっけ?」「あの時言われた言葉が忘れられない…」と、起こっていない未来と、過ぎた過去に関してはとりとめもなく思考が連鎖してゆきます。これらは言うまでもなく、今この瞬間におこってる現実ではありません。もちろん、人間が予期予防しつつ生活をすることは、社会生活には必要不可欠です。これらがなくてはあらゆる社会機能が滞ります。その一方で、望んでいない思考の堂々巡りに入った時、その思考がどの時点のものなのかを確認する作業は、堂々巡りを止めることに一役買うことができるでしょう。未来、過去と確認後、必ず今この瞬間に戻る。深く呼吸をする。今この瞬間の呼吸が、短い、深い、とぎれる、スムーズ、など詳細に観察しましょう。手のひらをもんで、その感覚を確かめるのもよいかもしれません。そうすることで、もうだめだ、抜けれないと思っている思考パターンと、実際はそうではないことに気づくことができるでしょう。大丈夫です。

0 件のコメント:

コメントを投稿