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2018年3月16日金曜日

タクシーモハメッド4

 二日目。家の前に止まったメルセデスの高級リムジン。知り合いでこんな高級車を持ってる人間がいたかな?と首をかしげながら、外からはよく見えない遮光車窓中をみると、知らないおじさんが「シュヴァルツさん早く乗って。」と言っているっぽい。「まじ?これで行くの?」と思わず日本語がでます。乗ってみると、なーんだ昨日の運転手さんでした。
 「すごいね、この車」「こんな車で放射線治療に行くなんて聞いたことないよ。」「これもタクシーなの?」と矢継ぎ早に言葉を放つ私に明らかに冷ややかな対応をする運転手さん。??? あれ、なんか変なこと言っちゃったかな。ま、いいか。外国人とのちょっと気まずい雰囲気を打破しようとドイツ人がよく放つ言葉「で、ドイツっていう国のことどう思う?」が、思わずでてしまいました。苦笑 しかし、これが発火点になろうとは…
 「そうだよ、俺の車だよ。俺が何年も朝から晩まで死ぬ思いで働いて買った車さ。この苦労をドイツ人の連中は知らないんだ。知らないくせに、俺みたいな外国人がこんな車に乗っているというだけで、アホみたいな嫉妬をしてくる。この車の登録に行ったときなんか、担当の公務員のババアが思いっきり嫌な態度をとりやがった。本当にあんたの車なの?みたいな目で見る。おまけにこんな車に乗れて幸せだと思った方がいいわよ、と説教までしやがる。頭にきて言ってやったよ、あんたも俺みたいに他人から何言われても顔色ひとつ変えずに朝から晩まで働いたら同じ車買えるよ。って。」と、一気に語る運転手さん。なるほど…あ!!そっか、「運転手さん、もしかしてモハメッドさん?このタクシー会社の社長さん?」「そうだよ。」すべてに合点がいきました。ここから彼の会社設立に至るまでの話が始まりました。本当にすごいな、偉いなしか言葉が出ない苦労話ばかり。外国人ならではの苦労話も盛りだくさん。彼はまさにゼロからこの会社を立ち上げ、今やリムジンも揃え、運転手10人を抱えるタクシー会社の社長として自らハンドルを握っているのでした。本当に感心。ドイツ社会を支えているのはまさに彼らのような外国人労働者。右寄りの傍観者連中よ、モハメッドさんの爪のアカを飲ませてもらって仕事をしろ!といいたい。ここには書けないような苦労話や経験をきかせてもらいました。祖国アフガニスタンを思う気持ちもです。ニュースでは伝わらないようなびっくりする話も…今では、祖国に帰るという希望は捨てたので、奥さんと話し合ってドイツ国籍を取得したそうです。と、彼の身の上話を聞いているうちにあっという間に往復の約50分はあっという間に過ぎていきました… 続く
 

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